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「卒業式」
タイトル

新たな旅立ちとまばゆい前途を願って。
おめでとう。


春まだ浅き3月。窓を開けていると、風にのって
卒業式の練習の音が聞こえてくることがある。

あれは中学校の卒業式のこと。
今でも忘れられないのは、学年主任だったO先生の式辞だ。
卒業O先生は、いわゆる「不良」の首根っこをつかまえては
指導にあたるような、風紀に厳しい先生で、
専門である国語の授業より、そちらの印象の方が強いほどだった。

そのO先生が壇上に立ち、「諸君…」と切り出したところで絶句してしまった。
しばらく間があり、
しぼり出すように「卒業おめでとう」。
ひと言、それで式辞は終わった。

体育館は静まりかえり、すすり泣く声が聞こえてきた。
O先生の涙に髪を染めていた男子もうつむいていた。
そのあとの『巣立ちの歌』は涙で歌えなかった。




























15歳の私たちは、その時はじめて
大きな愛情というものを、
何気なく通っていた教室が
あたたかな巣であったことを、肌で知ったように思う。
みんな妙にはしゃいでいたけれど
春の日差しとは裏腹に、静かなさみしさがこみあげていた。

ふと我に返る。
窓を閉めないと。
風といっしょに、春特有のせつなさも心に入り込んでしまったようだ。
時計をみると、お茶の時間。
甘いものを食べて、元気をもらうとしようか。

卒業の日の喜びも、せつなさも、
いつの日か糧に変わる。
いま、きれぎれに聞こえる歌を歌っている
少年少女たちの曇りのない前途を願いながら、
少しだけセンチメンタルな時間が流れていく。

kei

贈り方のヒント………
ご卒業に際し、つもる話もあることでしょう。どなたにも好まれる、上品なお菓子とともに語らいのひとときを。
ご卒業を祝うため、突然にお客様が訪問されることもあります。いつもより多めにお茶菓子を準備しておくと安心です。また、ごあいさつやお礼のために、ちょっとした菓子折を用意しておくと重宝するものです。

■写真は…天行健