もうすぐ、今の名字で迎える最後の日がやってくる。
間近にせまった結婚式にむけて、私の毎日はめまぐるしい。
結納から始まり、式の準備、新生活の支度…
そのつど嬉々とする母とは対照的に、父は寡黙だ。
あれこれ言われない分、気楽だけれど、もう少し喜んでくれてもいいのに。
ふと、カレンダーの「父の日」の文字が目に入った。
そういえば、父には久しく贈りものをしたことがない。
私が生まれた日、まだ字も読めないのに絵本を1箱分買ってきたという父。
昔かたぎで気難しい性格、それでよく怒られた。
なのに、私が熱を出したりすると、 |
落ち着きなく、私のまわりをうろうろしているのだった。
そんな、父の不器用ともいえる愛情に、私は守られ育まれてきた。
いまこの機会に、胸にある思いをきちんと伝えなければ。
感謝のしるしには、長く使ってもらえそうな上質なものと、父の好物を。
辛党で通っている父だが、実は甘いものも大好きなことを私は知っている。
そして、メッセージカードには
本当は、式の時に言いたいけれど、きっと涙で言えなくなってしまう言葉を。
今まで、たくさんの愛情をありがとう― と。
大事なことは、なかなか言えないこの性格。
気づけば、私は本当に父に似ている。
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