数年ぶりに、妹がお盆に帰省してくる。
今年は、お盆の勤務ローテーションから外れたらしく、お墓参りも行けるよと声が弾んでいた。
妹から電話が来てからというもの、
どこに連れて行く? 何をごちそうする? おみやげは? 連日、家族会議だ。
せっかく帰ってくるんだから、ふるさとを満喫させてあげたい。
なかでも一番はりきっているのは母だ。
3日間の帰省では余裕がないからと、妹に持たせるおみやげを早くも買いに来ている。
いろいろ物色していると、季節柄か、竿燈にちなんだ品が目にとまる。
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そういえば、あなたたちも小さいころは、よく傘を竿燈に見立てて遊んでいたわね、母が言う。
懐かしいな。妹も覚えているだろうか。
結局、日持ちのするうどんと、竿燈をモチーフにしたお菓子に決めた。
お菓子は会社の人にも渡すよう伝えるつもりらしいが、そこから秋田の話が広がるのを想像するとなんだかうれしい。
妹も得意げに、小さいころは竿燈ごっこしたんですよ、などと言ったりして。
懐かしさあふれる、このお菓子をきっと喜んでくれるだろう。
帰省もまだなのに、すでにおみやげ用ダンボールの中は荷物がいっぱいだなんて、妹に笑われそうだ。
あとはこれに、家族みんなで秋田の思い出をさらに詰め込もう。
妹の帰省まであと少し。その日を指折り数えて待っている。 |