◆春の到来 「山笑ふ」
道路端の雪のかたまりもとけ、カーテンの隙間からやわらかい光がさし込むようになると、いよいよ春本番。草木花たちが目覚め、それまで無彩色だった野山もほんのり色づきはじめます。梅や桜、沈丁花、菜の花、すみれ…文字通り、春の野山は「百花繚乱」。日だまりに揺れる花の姿は、季節の到来を全身で喜んでいるかのよう。俳句の世界では、そんな春山の様子を人間の姿にたとえて「山笑ふ」と表現するそうです。枯色だった山が色とりどりに染まり、まるで笑っているかのように見えるとは、古人の観察力と細やかな感性にはあらためて感服してしまいます。人の感受性も花と同じで、温かくなると一氣に花開くのでしょうか。
◆花も茶も、一期一会
花といえば「桜」というくらい、日本人は桜好き。あの薄紅色の花びらを見ていると、なんだか心がうきうきしてくる、という方も多いのでは? 一節によると、人間の皮膚が色を感じてうきうきするのがピンク色なのだそうです。また、『酒と桜の民族』を著した西岡秀雄氏によると、古来から桜の木には神様が宿ると信じられ、花が咲くと酒や肴を捧げお祭りする催す習慣があったようです。これが「花見」の原型となり、今日まで引き継がれていると考えられています。
しかし、桜が人を引きつける理由は、やがて散りゆく「はかなさ」にもある氣がしてなりません。ただ一回ぱっと咲く花の命、そこに見出される一期一会の精神―。茶の心にも通じた氣持ちで愛でると、どんな花もまぶしいほどに美しさが際立ちます。
◆「自分流」のお花見を
さて、花は桜に限ったものではありません。校庭のチューリップ、どこかの庭先から香ってくる木蓮、れんげ畑…。わんと咲きほこる美しさを前に、とても素通りすることはできません。花見の名所でなくとも、自分の感性に響く場所があれば、そこがあなたの指定席。花の下で寝そべるもよし、お花畑でお茶を楽しむもよし…。お氣に召すまま堪能しましょう。
そんな花めぐりにぴったりなのが、バスケットにさっとつめて持っていけるお菓子。パッケージも鮮やかな「真秀らの郷(まほらのさと)」は、さっくり軽いガレットに、ブルーベリージャムやクリームチーズをサンドしたブッセ。ふんわりとした食感は、春の淡い日差しのようです。ちなみに、「まほら」とは”まほろば”、「すばらしい場所」という意味。美しい花、美味に満たされる時こそ、「まほら」への扉が開く瞬間なのかもしれません。
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