◆雨の日の宝石たち
暦の上では、6月は雨の季節。かさが外出の友となり、空をにらみながらの通勤・通学となりますが、この時期ならではの「美」にハッとさせられることもしばしばです。雨に濡れたあじさい、しずくに映る虹。くるくるとかさを回しながら進む小学生の列さえも、カラフルなかたつむりのように見えて、なんだか和んでしまいます。たまにはやさしい雨音を聞きながら、部屋でゆったり過ごす時間もまた至福、という方もおいでのことでしょう。雨は、心を潤すマイナスイオンのシャワーなのかもしれませんね。
◆なぜ「水無し月」なの?
そんな風に、雨を切り離しては考えられない月なのに、6月の旧暦名は「水無月」。この時期に雨が降らないとおいしい農作物が実らないため、祈りをこめてこう呼ぶようになったそうです。全国各地で、田植え祭りや五穀豊穣を祈願したお祭りが行われるのもこのシーズン。秋田にも、「鹿島流し」といって豊作や家内安全を祈願し、武士人形を川に流すお祭りがあります。雨が山にざあざあ降り注ぎ、大地の貯水タンクにしっかり水を蓄えたころ、長い梅雨もようやく明け、待ち望んでいた夏がやってきます。
◆ひんやり、お酒のゼリー
気温がじわりじわりと上昇し、ひんやりした味覚に引かれるようになるのがこの季節。店頭にも、いちぢくゼリーや琥珀糖などの、冷菓3種を詰め合わせた「季の賛菓(ときのさんか)」が並ぶようになり、いよいよ夏を感じます。中でも、米どころの秋田らしく興味をそそるのが、地酒をふんだんに使用したゼリー。その名も「酒ゼリー」は、ほろ酔い感覚が心地いい大人のための冷菓です。秋田銘酒・新政の香りがふわりと漂い、ほんのりとした甘さと清涼感が、のどもとをツルンと通り過ぎていきます。クラッシュアイスのように粗く砕いて、シャンパングラスに飾り付ければおもてなしにもぴったり。雨あがりを待ちながらゼリーを食べているうちに、いつしか晴れ間がのぞいているはずです。 |